時短作業と品質向上のニーズに同時に応えるコンクリート養生材

1．はじめに

コンクリート床は長期的な利用を考えると、密実で表面硬度が強化され、ひび割れの少ない床仕上げが望まれる。

コンクリート打設時にはバイブレーターをはじめ電動タンパーによる再振動締固め、騎乗式トロウェルによる表面加圧など密実性を上げる処置が内部から表層、表面に至るまで行われる。ただし床仕上げの品質は表面の初期クラックから影響を受けることもあるため打設後の散水シート養生（写真1）は必須であり、このタイミングの良し悪しによっては亀甲クラック、プラスチックひび割れなどの乾燥収縮によるクラック発生のリスクが大きくなる。（写真2）

本来であれば、コンクリート養生は金鏝仕上げ終了の直後から3日間が、保水によって硬化組織を生成し、健全な表面を構築する期間となるが（写真3）、実際には、近隣の問題や深夜残業の規制などからコンクリート打設翌日に養生が行われる現場が多い。 さらに今後も働き方改革の観点から現場も4週8閉所を設けることとなり、それにより懸念される点として、例えば金曜日に打設したコンクリートの養生が月曜日に行われるようなことがあり得る。こうなるとコンクリート養生の本質から逸脱することになる。

2．散布して養生を行う養生材「フィックスガード」

そこで今回紹介するのが、凝結遅延型の床養生材「フィックスガード」（写真4）である。これは打設時の風や直射日光による急乾燥を防止する凝結遅延材の役目（写真5）を担う一方、金鏝仕上げの直後に散布（写真6）すると、気温や環境によるが2〜3日の保水状態が得られ、養生効果を持続させることができる。最終的に蒸発してしまうことから従来の皮膜タイプの養生材とは異なり素地仕上げや塗装床、表面強化剤の下地としても接着性に影響はなく、いかなる用途のコンクリートにおいても使用可能となる。

施工時間の比較では、散水シート養生の場合1000㎡あたり作業時間6〜7時間程度（防護ネット敷き設込み）で人工は3〜4人工程度となるが、フィックスガード散布は作業時間30〜40分程度で人工は1人工で終了する。

3．おわりに

フィックスガードの使用で、明らかに時短作業となり品質も確保されることから、今後現場の省力化やコンクリート床の表面品質を護持することを考えると必須な材料と言える。気温35度以上で直射日光に長時間さらされる場合や、風の強い場所などは表面の乾燥が著しいためフィックスガードを散布後、翌日さらに散布を行うケースも考えられるが、いずれにせよ時短作業を実施しつつ品質確保される材料および施工法が今後必須になると考える。

この記事を書いた人：DXマテリアル株式会社　尾島浩二